労働災害

労災事故で困ったら

・仕事中に足場から落ちて怪我をした
・工場の機械で作業中、手を挟んで怪我をした
・現場作業中、落下した建材が直撃し怪我をした
・労災保険だけではなく、会社からも損害を賠償してもらいたい

労働者が業務上の災害によって傷病を負った場合、多くのケースにおいて国の労災保険が適用され、治療費等一定の給付を受けることが可能です。
しかし、労災保険による給付金によって、損害の全てが補償される訳ではありません。なぜなら、労災保険による補償は、被災者保護のための最低限の補償だからです。そのため、被災後、被災労働者自身やその家族の生活が立ちゆかなくなることが往々にしてあります。
このような場合、被災労働者は必ずしもその不利益を甘受しなければならない訳ではありません。ご存じない方が多いと思いますが、労災保険によっても補償されない損害は、要件を満たせば会社に請求することが可能なのです。

会社の損害賠償責任

会社は従業員に対し、「安全配慮義務」(労働契約法5条)を負っており、労災事故の多くは、会社の「安全配慮義務違反」が原因で起こっています。
例えば、会社は、ある従業員が作業中の不注意によって別の従業員(被災労働者)を負傷させた場合、会社は被災労働者に対し安全配慮義務に基づく責任を負います。
また、被災労働者が一人で作業中に負傷したような場合、会社は、自損事故だから会社に責任はないと主張することがありますが、過去の裁判例では、会社が従業員の危険回避のための作業管理や環境整備をしていなかった等の理由で、会社の被災労働者に対する責任を認める例が多くあります。
さらに、被災労働者自身に過失がある場合でも、会社の安全配慮義務自体が否定される訳ではありません。
このように、被災労働者は、労災保険から補償を受けるだけでなく、安全配慮義務を怠った会社に対する損害賠償責任の追及も可能なのです。

労災保険の補償の不十分性

労災保険から受けられる補償は、治療費、休業損害(6割のみ)、後遺障害逸失利益(障害等級に応じた一部分のみ)のみです。
慰謝料(死亡慰謝料、後遺障害慰謝料、入通院慰謝料)の補償はなく、交通費も支給されません。休業損害、後遺障害逸失利益も一部が補償されますが、全額補償される訳ではありません。つまり、労災保険で全額補償が受けられるのは治療費だけなのです。
特に、重い後遺障害が残ったり、亡くなられた場合には、満額補償を受けられるのが治療費のみであれば、被災労働者本人や家族が以前の生活を維持するのは簡単ではないでしょう。実際に、労災保険から十分な補償を受けられず、被災後困難な生活を送っている被災者の方は少なくないと思われます。
しかし、責任の一端がある会社に損害賠償請求を行うことで、数百万~数千万円増額した補償を受け取ることが可能となるのです。
・労災事故における慰謝料額(A)
・労災保険における休業補償(B)

(A)労災事故における慰謝料額

慰謝料とは、労災事故で傷病を負ったことにより受けた精神的な苦痛に対する損害賠償金のことをいいます。
労災保険では、慰謝料は補償されないため、その労災事故について会社に責任がある場合、会社に対して損害賠償請求を行う中で慰謝料も請求することになります。
労働災害に関する慰謝料の種類は、次の3種類あります。

1.慰謝料請求の種類

1-1.死亡慰謝料
労災事故により被災労働者が死亡した場合に支払われる慰謝料です。
一般的には、裁判所の判決で認められる金額が参考にされています。裁判所の基準によれば、おおむね次のような金額になります。
・被災者が一家の支柱の場合・・・2800万円
・被災者が母親、配偶者の場合・・・2500万円
・被災者がその他の場合・・・2000万円~2500万円
死亡慰謝料は、被災者がその家庭でどのような立場にあったかによって金額に差があります。
死亡事故の場合は、被災者を亡くしたことで近親者も精神的苦痛を被ることが考えられます。 そのため、近親者固有の慰謝料が認められる場合があります。

1-2.後遺症慰謝料
傷病の治療を続けたものの、後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。
一般的には、裁判所の判決で認められる金額が参考にされています。裁判所の基準によれば、おおむね次のような金額になります。
・第1級・・・2800万円・第2級・・・2370万円・第3級・・・1990万円
・第4級・・・1670万円・第5級・・・1400万円・第6級・・・1180万円
・第7級・・・1000万円・第8級・・・830万円・第9級・・・690万円
・第10級・・・550万円・第11級・・・420万円・第12級・・・290万円
・第13級・・・180万円・第14級・・・110万円

1-3.入・通院慰謝料
労災事故により負った傷病のために入院や通院を余儀なくされたことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。
一般的には、裁判所の判決で認められる金額が参考にされています。
裁判所の基準によれば、入院期間と通院期間によって金額が算出されることになります。

2.会社への慰謝料請求

以上の3種類の慰謝料は、労災保険からは補償を受けられないものです。
労災事故が起こったことに会社の責任が認められる場合は、会社に対しこれらの慰謝料を請求することができます。
労災事故でお悩みの方は、正当な補償を受けられるよう、是非弁護士に相談してみることをおすすめします。

(B) 労災保険における休業補償

1.労災保険の休業補償給付とは

労災事故で傷病を負って会社を休業しなければならなくなった場合、労災保険から休業補償給付を受け取ることができます。有給休暇を使わなくとも休業補償給付を受けることができるため、休業期間も安心して入通院治療を受けることができます。

支給額は以下のように決められます。

1)休業(補償)給付=給付基礎日額の60%休業日数

2)休業特別支給金=給付基礎日額の20%休業日数

これらを合計すると、給付基礎日額の80%の支給を受けられるということになります。

2.会社への休業補償請求

もっとも、上述のように休業補償給付によって補償される金額は、賃金の全額ではありません。全額の給付を受けられないことで、生活に支障が出ることも十分に考えられます。

この点、その労災事故に会社の責任があれば、会社に対し労災保険で補償されない残りの休業損害の賠償を求めることができます(正確にいうと、「特別支給金」20%の分は、会社の支払義務を免除しないため、会社は「残り40%」の金額を支払う責任があります)。

労災事故でお悩みの方は、正当な補償を受けられるよう、是非弁護士に相談してみることをおすすめします。

損害賠償請求を弁護士に依頼するメリット

従業員である被災労働者が、雇用主である会社と対等に損害賠償交渉を行うことは困難を極めるでしょう。

そもそもほとんどの被災者の方が、労働災害に遭うことは初めてでしょうから、情報や知識がなく、どのように手続きを進めてよいかすら分からないのではないでしょうか。

また、労災保険のみ申請すれば会社の責任を果たしたと考えている会社も多いため、残念ながら、会社と交渉しようにも、取り合ってすらもらえないこともあると思います。

これに対し、弁護士に交渉を依頼すれば、事業者(会社)の法的責任を明らかにしその責任を追及していきます。

弁護士は、複雑な交渉や、具体的な証拠の収集は日常的に行っておりますので、ご依頼いただけば迅速に交渉を進めることができます。これにより、会社も適正な賠償に応じる可能性が十分に出てきます。

労災事故に遭われ、補償についてお悩みの方は、是非、一度ご相談下さい。

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加古川で弁護士をお探しの方は、つつじの総合法律事務所にお任せください TEL:079-456-8220 受付時間:平日9:00~19:00 相談時間:平日10:00~19:00(夜間・土日祝日・応相談)

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