個人再生とは?

①個人再生とは

個人再生とは、裁判所を通して、住宅ローン以外の債務を大幅に減額してもらう法的な手続です。自己破産は、裁判所から免責決定が出ると、借金の返済義務がなくなりますが、個人再生では、減額された借金を概ね3年~5年かけて支払うことで、残りの借金については支払い義務がなくなります。個人再生には、所定の条件がありますが、以下のような人は、一度個人再生手続を検討されてみてもいいかもしれません。

◇個人再生を検討してみてもいいかも知れない人とは

 ・住宅ローンの返済が厳しいが、自己破産をしたくない人
 ・マイホームを手放したくない人

 ・仕事の関係で、自己破産が出来ない人

 ・毎月の返済額を減らしたい人

 ・免責不許可事由がある人  など

②個人再生の特徴

(1)手続には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」がある。

この2種類の大きな違いは、返済していく金額(最低弁済額)を決める基準と、債権者の同意の有無に違いがあります。

① 小規模個人再生

個人再生の基本的な手続です。「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること」が法律上の要件となりますので、要件を満たしているのであれば、アルバイトやパートの方でも利用できる制度です。しかし、再生計画(今後、返済していく計画のこと)の成立において、過半数(頭数だけではなく、債権額の過半数も含む)の債権者が反対をしないことも要件になります。

② 給与所得者再生

一般のサラリーマンなど将来的に収入が確実かつ容易に把握できる人を対象にしている手続です。小規模個人再生の時のように、再生計画の認可要件に債権者の同意・不同意が含まれていませんが、可処分所得弁済要件が設けられています。

小規模個人再生と給与所得者等再生を表にまとめると以下のようになります。

小規模個人再生 給与所得者等再生
要件 継続的に又は反復して収入を得る見込みのある者 給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者で、その額の変動の幅が少ないと見込まれること
計画弁済総額 最低弁済額と清算価値総額のどちらか大きい額 最低弁済額と清算価値総額に加え、可処分所得額2年分の一番大きい額
債権者の同意 必要 不要
申立の制限 なし 過去7年以内に、個人再生手続のハードシップ免責許可決定、給与所得者等再生の再生計画認可決定、破産手続免責決定を受けていないこと

(2)借金を5分の1に圧縮できます。

借金の総額により圧縮率は変わりますが、借金を5分の1まで圧縮することが出来ます。個人再生手続により支払う総額を最低弁済額と言いますが、これは、負債額や資産状況に応じて決定されます。次の3つが基準になります。

①負債額から算出 負債額が100万円未満の場合は、負債額全額
負債額が100万円以上500万円未満の場合は、100万円
負債額が500万円以上1500万円未満の場合は、負債額の5分の1
負債額が1500万円以上3000万円未満の場合は、300万円
負債額が3000万円以上5000万円未満の場合は、負債額の10分の1
②清算価値(財産)から算出 不動産や自動車など、裁判所が「財産」と判断するものの価値の総額。
③収入から算出 収入から、住民税や所得税等の税金、社会保険料、および、政令で定められた必要最低金額の生活費を差し引いた金額(可処分所得)の2倍(2年分)の金額。

小規模個人再生の場合は、最低弁済額を決める際、①と②を比較し、高い金額の方を原則3年間で返済していくことになります。

給与所得者再生の場合は、①~③の中で最も高い金額を原則3年間で返済していくことになります。

(3)住宅資金特別条項により、住宅を残すことが出来ます。

この制度を利用することで、手続期間中も住宅ローンの支払いを続けることが出来、結果的に不動産を残すことが出来ます。しかし、この特例を利用するには、本人が所有している住宅で、かつ、現在も居住していることが条件になります。所有しているというのは、ご両親やご夫婦と共有であってもかまいません。また、住宅ローンの借り換えや、リフォームローンであっても利用することが出来ます。

③個人再生のメリットデメリット

◇メリット

 (1)返済不能になった理由は問われない。

    ギャンプルや浪費であっても利用できます。

 (2)条件が整えば、家を手放すことなく手続をすることが出来る。

 (3)資格制限がなく、ほとんど仕事に影響がない。

 (4)住宅ローン返済計画の見直しが出来る。

 (5)借金の減額が大幅に減額される。

◇デメリット

 (1)一定期間新たに借入れが出来なくなる。

   いわゆるブラックリストに登録されます。各種信用情報機関にもよりますが、およそ5年~10年、個人再生手続をとったという記録が残りますが、その後抹消されます。

 (2)官報で公告される。

 (3)保証人がついている場合は、保証人に影響が出る場合がある。

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